任意後見制度の趣旨・意義
今回は任意後見制度の趣旨・意義について書きたいと思います。 任意後見制度を含めた成年後見制度が出来たのは平成11年です。ですので、まだ制度が出来てから20年にも満たないということになります。 それでは、それまでの後見制度がどのようなものであったかというと、禁治産・準禁治産制度というものでした。 しかしながら、この禁治産・準禁治産制度が出来たのは明治時代の話です。その頃はまだ、今で言うところの基本的人権の中身も不十分であり、現代の考え方とは大きく異なっていることもあって制度の見直しが行われることになりました。 そして、制度を見直して出来たのが「成年後見制度」です。先述の禁治産・準禁治産制度との違いとしては、身上監護義務の明文化や後見・保佐・補助への類型の変化などが挙げられます。原則的な部分で言えば、より本人保護、そして本人の自己決定が尊重されやすくなったことが大きな特徴です。 成年後見制度には大きく分けて「法定後見」「任意後見」の二つがあります。 どちらも基本的には先述したような本人保護・自己決定の尊重が採り入れられているのですが、その中でも法定後見は本人保護、任意後見は自己決定の尊重という部分がより強く出ているのが特徴だといえます。 具体的に書くと、法定後見の場合は判断能力が低下した後に家庭裁判所が審判によって後見人等を決めます。これは判断能力が低下した人の保護を極力優先させる必要があるため、基本的な部分に関しては家庭裁判所の判断に委ねられる形となります。 それに対して、任意後見の場合は判断能力の低下前に、契約によって後見人や委任範囲を本人の意思で決めることが出来ます。法定後見に比べると任意後見のケースは緊急性が低いため、本人の自己決定という部分が極力重視される形となります。 現在、法律における成年後見制度だけでなく、福祉における倫理という部分においても「自己決定の尊重・支援」という部分はとても重視されるようになっています。余談になりますが、国際的な流れにおいては「自己決定の尊重」が最も重視されており、それこそ成年後見における「後見」に該当する人であっても、少しでも意思能力があればその意思を尊重するべきだという考え方になりつつあります。その意味で、「代行決定」に当たる成年後見制度は国際的な批判を受けているという側面もあります。 日本においては「成年後見制度」が法制度化されているので一般に代行決定が悪いというわけではないのですが、任意後見に関しては上記の倫理を踏まえて、より本人の意思に沿った後見業務を行う必要があるといえるでしょう。 当事務所では、介護福祉士・行政書士が福祉相談に応じ、任意後見契約書の起案や、受任者が見つからない場合は引き受けることもできます。またペットとの暮らしも大切にしたいと考えている方へは、一般社団法人どうぶつ法務福祉協会を受任者とすることもできます。 ********************** ペットソーシャルワーク専門 行政書士・介護福祉士横浜いずみ共同事務所 〒245-0014神奈川県横浜市泉区中田南4ー6-18 シンペテンボスビル406号室 TEL045-443-6875 FAX045-443-6876 HP◇http://izumidaisho.com/ ********************* コメントはクローズされています。
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